「りりの目つきはとらに比べると、陰気だねえ」
というのはYさんの感想。
あのね、あの子は男の人がきらいだから、あなたのことも危険人物だって思ってるのよ
とは、口に出さない私の感想。
それでも、歩いているときとかちょっとぺろぺろするときとか、小さな動きがなんていうか女の子らしくて、人間の女の子だったら、ふりふりレースがすきな乙女チックな感じが漂うわけで。
「姫」
というのは、私の頭のなかにも言葉でなくて、もやもやとしたイメージの形であったものですが、Yさんが「お姫様がウンチしてるよ」と女子トイレの汚れを教えてくれた時に、あ~、と思ってしまいました。彼も、これはおそらく、とらとの対比の上で感じたことでしょうが、姫という言葉が浮かんできたようです。
さて、そのりり。
前々から、誰かがキッチンに入るとどこにいてもすっ飛んでくるのですが、昨日の夜も、ヨーグルトを食べようとお皿にいれてキッチンから出ようとしたYさんに、りりがいち早く気が付いて、寄ってきました。
「ヨーグルトだよ、お前、たべないだろう、ほら」といいながら、それでも指先にちょこっとつけて、りりの鼻先に出したYさん。りりはためらいがちにそっと指をなめました。
「あ・・・・。食欲が恐怖に勝った。こわいおじさんだよ、りり。いいのか」
なめ終わるとちょっと後ろに下がってぺろぺろしながらかわいい甘い声でアンコールをお願いするりりに、Yさんは、何回か、なめさせてやって、もうおしまいとばかり立ち上がったところで、りりは、はっとして慌てて逃げていきました。
「えやすだね、りりは。」
Yさんが言いました。えやすというのは山形の言葉でいやしいの名詞形のようですが、食べ物に執着心が強い子供に親が「えやすだね、この子は」といって、たしなめる時の言葉です。
というわけで、キッチンでかちゃっと音がするたびに、首の鈴を鳴らしながら期待して出てくるりりにえやす姫、という別名がついてしまったのでした。
さっ、ここで姫が四つ指ついてご挨拶。
食べ物はベツバラにゃのまあ・・・。りりちゃんたら
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